<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "http://schema.org",
  "@type": "Article",
  "url": "https://hsugawa8651.github.io/memojuliav11/ch01/",
  "mainEntityOfPage": {
   "@type": "WebPage",
   "@id": "https://hsugawa8651.github.io/memojuliav11"
  },
  "author": {
    "@type": "Person",
    "name": "Hiroharu Sugawara",
    "address": "Japan",
    "email": "hsugawa@tmu.ac.jp"
  },
  "image": "https://hsugawa8651.github.io/memojuliav11",
  "genre": "Programming",
  "keywords": [
    "グラフを描く",
    "Julia Computing Language",
    "Julia 1.1",
    "Programming",
    "Mathematics"
  ],
}

第1回:▼ 簡単なグラフを描く

■ 対話形式で使う

本文では、対話形式で、Julia を利用する。

Juliaをコマンドラインから利用している場合は、 プロンプト julia> が印字され、利用者の入力を待っている。

命令を打ち込み、ENTERキーを押すと、 その命令を計算(評価)した結果が印字される。

julia> 1
1

上の例では、1 という文字の並びから、 1 という数を内部で作成し、 それを計算の結果として印字したのである。

計算機側から見ると、 利用者の入力を読み込み(Read)、 入力された命令を評価し(Eval)、 その結果を印字する(Print)ことを、繰り返す(Loop)。 この4つの頭文字をとって、 対話型利用のことを REPL とも呼ぶ。

Jupyter notebookを用いる場合には、 Code cellが表示されている。 ここに命令を打ち込み、SHIFT + ENTER キーを押すと、 その命令を評価した結果が出力される。

■ 電卓として使う

数と数との四則演算をしてみよう。

加算には + 、 減算には - の文字を使う。 乗算には * (アスタリスク astarisk と読む)、 除算には (% ではなくて) / (スラッシュ slash と読む)の文字を用いる。

julia> 1 + 2
3

julia> 3 * 4
12

数式と同じように、乗算と除算は、加算・減算に優先する。 計算の順序を変えるには、括弧 () との組を用いる

julia> 2 + 3 * 4
14

julia> (2 + 3) * 4
20

除算の結果は、小数となる。

julia> 2 / 2
1.0

julia> 1 / 3
0.3333333333333333

julia> 5 / 2
2.5

■ 変数に値を代入する

値には、名前(名札、ラベル)をつけることができる。 この名前を変数といい、名前をつける操作を「値を変数に代入する」という。 変数には、色々な種類の値を代入できる。

変数を評価すると、変数の値となる。

julia> # 変数 x に 値 2 を代入する
       x = 2
2

julia> # 変数 x の値を用いる
       x + 1
3

julia> # 変数 x に 別の値 3 を再代入する
       x = 3
3

# はコメントである。 # から行末までの文字は全て無視される。

■ 変数名の規則

Allowed Variable Names (section)

変数の名前(変数名)は、以下のようにつける。

変数名の最初の文字は、半角のアルファベット (aからzまで、AからZまで)、 または、下線(アンダースコア _)のいずれかでなければならない。 変数の2文字目以降は、さらに、半角の数字 (0から9)、 または、半角の感嘆符 ! を含めることができる。

半角文字とは「かな漢字変換機能」を用いずに、 キーボードから打ち込める文字と考えてよい。

変数名には、漢字やギリシャ文字などを使うことができるが、 ここでは説明を省略する。

Stylistic Conventions (section)

今後出現する、定数、型、関数、マクロ、モジュール、パッケージの名前も、変数名の約束と同じである。 ただし、慣習として、以下のように使い分ける。

  • 変数名は小文字で始める。
  • 型、モジュール、パッケージの名前は大文字で始める。
  • 関数やマクロの名前は小文字で始める。下線(アンダースコア _)は用いない。

■ ベクトル

角括弧 [] との間に、カンマ , で区切って 数を並べたものを、(数の)ベクトルという。

ベクトルは、縦に印字される (列ベクトル, column vector)。

julia> [1,3,2]
3-element Array{Int64,1}:
 1
 3
 2

変数に、ベクトルを代入しよう。

julia> xs = [1,2,2,1]
4-element Array{Int64,1}:
 1
 2
 2
 1

julia> ys = [1,1,3,1]
4-element Array{Int64,1}:
 1
 1
 3
 1
Note

本文の筆者は、(ベクトルなど)複数の値を内部に含むデータに対する変数の名前を「英語の複数形の名詞」とすることが多い (多くの場合、末尾を s で終える)。そのデータの各要素を表す変数の名前を単数形とする。(大文字は定数などを表す約束だから)大文字と小文字で、ベクトルなどとその要素を区別することは避けた方がよい。

ベクトル v とスカラー c とに演算子 * を適用する v * c と、各要素をスカラーで乗じたベクトルが得られる。 スカラーとベクトルとに演算子 * を適用する c * v と、同じ結果が得られる。



julia> xs * 2
4-element Array{Int64,1}:
 2
 4
 4
 2

julia> 2 * xs
4-element Array{Int64,1}:
 2
 4
 4
 2

ベクトル v とスカラー c とに演算子 / を適用する v / cと、各要素をスカラーで除したベクトルが得られる。



julia> xs / 2
4-element Array{Float64,1}:
 0.5
 1.0
 1.0
 0.5

ベクトルとスカラーとに、演算子 .+.- を適用する v .+ c あるいは v .- c と、ベクトルの各要素をスカラーで加減したベクトルとなる。 +-の前のピリオド . は「各要素に対する演算」を意味する。



julia> xs .+ 2
4-element Array{Int64,1}:
 3
 4
 4
 3

julia> xs .- 2
4-element Array{Int64,1}:
 -1
  0
  0
 -1

この場合、ピリオドが付かない演算子 +- を用いると、例外 (exception, エラー)となる。

julia> xs + 2
ERROR: MethodError: no method matching +(::Array{Int64,1}, ::Int64)

▼ 三角形を描く

「パッケージ」とは、関連する関数、定数、変数などをまとめたものである。

PyPlot パッケージは、 グラフを描くためのパッケージの一つである。

パッケージを用いるには、using <<パッケージ名>> を起動し、パッケージを読み込んでおく。

PyPlot パッケージに含まれる関数 plot は、グラフを描くための一般的な関数である。

plot(xs,ys) の形で用いると、 ベクトル xs, ys から一つづつ数を取り出し。 それらを各々 x座標, y座標とする点を打つことを命令する。

通常は、plt.plot() の形で用いる。 plt は、図の寸法や、グラフの軸を含む[オブジェクト]である。

# PyPlot パッケージの読み込み
using PyPlot
xs = [1,2,2,1]
ys = [1,1,3,1]
# 描画
plt.plot(xs,ys)

▲ 練習

xsys の値を変えて、別の図形を表示してみよ。

xsys の要素の「数」が等しくない場合は、どうなるか? 試してみよ。

■ Range型

Base.:: — Function

二つ、または、三つの数字をコロン(:) で区切ったデータは、 有限の(= 要素の数が定まった)等差数列 (arithmetic sequence)を表す (Range型)。

Note

「型」とは「データの種類」である。詳しくは、後の節で述べる。→ ■ 型

二つの数をコロン (:) で区切った量 a:b は、 a から 1 づつ増やして、b を超えるまでの数からなる等差数列である。 三つの数をコロンで区切った量 a:c:b は、 a から c づつ増やして、b を超えるまでの数からなる等差数列である。 c は、等差 (common difference) である。

Note

一定間隔 c を「等差 (common difference)」と本文では呼ぶ。数学では「公差」と呼ばれることもあるが、工学での「公差」は tolerance を意味することが多い。

julia> 1:5
1:5

julia> xs=0:0.1:1
0.0:0.1:1.0

Range型の量から各要素を取り出してベクトルに変換するには、 collect関数を用いる。


julia> collect(xs)
11-element Array{Float64,1}:
 0.0
 0.1
 0.2
 0.3
 0.4
 0.5
 0.6
 0.7
 0.8
 0.9
 1.0

等差 c は、負の値でもよい。 この場合、a:c:b は、a から c づつ増やして、 b を「下回る」までの数からなる等差数列となる。

julia> xs=10:-1:0
10:-1:0

julia> collect(xs)
11-element Array{Int64,1}:
 10
  9
  8
  7
  6
  5
  4
  3
  2
  1
  0

等差 c が負で、$a < b$ だと、要素は 0個になる。

julia> xs=2:-1:5
2:-1:3

julia> collect(xs)
0-element Array{Int64,1}

■ Range型のスカラーによる乗除

Range型 v とスカラー c とに演算子 * を適用する v * c と、 各要素にスカラーで乗じた結果に相当するRange型が得られる。 スカラーとRange型とに演算子 * を適用する c * v と、同じ結果が得られる。

julia> xs=0:2:10
0:2:10

julia> # 各要素を 2倍する
       xs * 2
0:4:20

julia> 2 * xs
0:4:20

Range型とスカラーとに演算子 / を適用する v / c と、 各要素にスカラーで除した結果に相当するRange型が得られる。


julia> # 各要素を 2で除す
       xs / 2
0.0:1.0:5.0

Range型とスカラーとに、演算子 .+.- を適用する v .+ c あるいは v .- c と、Range型の各要素をスカラーで加減した結果に相当するRange型が得られる。 演算子 +, - を用いると、例外 (exception, エラー)となる。


julia> # 各要素に 1 を加える
       xs .+ 1
1:2:11

julia> # 各要素から 0.2 を引く
       xs .- 0.2
-0.2:2.0:9.8

▼ 式のグラフを描く

plot関数に対して、二つのコレクション xsys を渡すと、 xsys から一つづつ要素を取り出し、 これらを x, y 座標とする点同士を結んで、図形が描かれるのであった。

式のグラフを描くには、xs から計算した式の値を、ysに与えればよい。

二つの直線 $y=-x$$y=2x-1$ のグラフを描いてみよう。

# PyPlot パッケージの読み込み
using PyPlot
xs=-1:0.1:1
# 描画
ys1=-1*xs
plt.plot(xs,ys1)
ys2=2*xs .- 1
plt.plot(xs,ys2)

▲ 練習

別の直線を描いてみよ。

★ 今回のまとめ

  • 対話形式の使い方
  • 数の四則演算
  • PyPlotパッケージを用いた図形とグラフの描画
  • ベクトルと等差数列